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翻訳家の「らしさ」

 

翻訳者と翻訳家は何がちがうのか、少し見えてきたような気がします。

 

 

なぜ「翻訳家」と名乗りきれないのか。

 

 

・単純に訳書の数が少ないから

 

でもこれは焦りません。丁寧に、コンスタントに重ねていけたなら上出来。かつて大学の時計台下の講堂で翻訳家の青木薫さんから直接いただいた言葉が今も私の指針になっています。「いつか1冊の本が注目されたときに、振り返ると真珠のネックレスができているように」

 

 

・「らしさ」に欠けるから

 

自分はあくまで翻訳者だと思ってきました。翻訳家を名乗ろうと思ったことはありません。そもそも、自分で名乗るものではないのだと思っていました。当然、らしくあろうなんて考えたこともありませんでした。でも、

 

翻訳家らしさって何でしょうか。

 

「本物のプロの翻訳家」について書かれていた言葉が大きなヒントになりました。

 翻訳者の仕事は、あくまできちんと訳すこと。けれど、翻訳家の仕事は、訳して終わりではないのかもしれません。

 

私が翻訳家「らしい」と感じる人たちには、マスに向けて何らかの形で発信している人が多いような気がします。それができるのは、本作りに関わるすべての人たちの想いを受けとめ、そこに関わろうとする意識があるからなのかもしれません。

 

 

急に立派なことはできませんが、私も何か、訳すだけではない何かを、小さなことからはじめてみようかと・・・