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翻訳者のままでは

 

翻訳の仕事のほかに、もうひとつ、2008年1月にはじめたことがありました。

 

あさま組勉強会。

月に一度、師匠・夏目大 先生のもと、プロとして翻訳業に従事しているメンバーで勉強会を重ねてきました。こちらも10年。100回を超えました。

 

自分の訳は棚に上げて、他の人の訳文に意見する。それも、プロが集う場で。

 

自分が吐いた言葉はすべて自分にかえってきます。家でひとり訳しているときも、メンバーの声が頭のなかで聞こえます。納品するときの絶対的基準は、あさま組の一員として恥ずかしくないものを出せているかどうか。尊敬だけではない、敬愛の念。どんなに先を行かれていても、ご一緒した方々のご活躍はいつだって刺激になり、励みになります。

 

 

だからこそ、先の児島修さんのツイートも、より一層、心に響いたのかもしれません。

そして今度は、翻訳家の上原裕美子さんの「あとがき」が訴えかけてきました。

 

先日ご恵贈いただいた訳書。

『世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている』上原裕美子訳、ダイヤモンド社

 

次々に訳書を出され、ますますご活躍のゆみさん。ほんのちょっとお手伝いしただけでしたが、あとがきに名前をのせてくださっていました。いつもお心遣い、ありがとうございます。

 

「翻訳家の久保尚子さん」

 

ここでまた、いつになく妙に言葉が迫ってきました。

 

 翻訳家。

 

これまでにも、翻訳家という肩書きを付けていただいた場面はありましたが、いつも自分からは「翻訳者」と名乗ってきました。

 

翻訳者と翻訳家。何かがちがうと思うのです。

どうしたら翻訳家になれますか?